福島県
郡山市

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福島県内各地の環境放射能測定値グラフ(過去の重要トピックス)

グラフをクリックすると、大きなグラフを見ることができます。

解説は、サイト管理者の個人的推測です。間違っている可能性もありますので、他の情報と総合してご判断ください。

最新のグラフ

4月11日~5月4日のグラフ

3月20日~4月10日のグラフ


80地点の推移
(2012年3月31日まで)
県北地方_3月31日まで

県中地方_3月31日まで

県南地方_3月31日まで

会津地方_3月31日まで

会津・相双地方_3月31日まで
震災から1年を迎えて(2012年3月11日)
  • 震災から1年が経った。この間、10市町村のデータは、昨年3月20日の初回より193回の更新を行った。最近では1週間~2週間に1回の更新で、だいぶ間が空くようになってしまったが、小生のボランティア活動として今後も出来る限り継続してゆくつもりである。
  • 80地点の推移は、震災以後40回程度の更新を重ねてきた。1回の更新に1時間以上かかるので、この程度の頻度になってしまう。
  • 県の情報も、時々市町村が別なデータに移ってしまったり、表の並びが変わったり、表のフォーマットが変わったりするので、対応するのも大変だ。でも、定期的に見ていただいている方もおられると思うので、10市町村と同様、出来る限り継続していきたい。
積雪による遮線効果 福島市の放射線量と降雪量の関係

  • 飯舘村、福島市、会津若松市で、2011年12月26日以降、比較的大きな線量の変動が見られる。
  • これは降雪の影響と予想されたため、福島市を例として、12月26日~30日の積雪量との相関を見てみることにした。
  • 見やすくするために、積雪量の軸は反転してある。グラフを見る限りでは、放射線量と積雪量の間には強い相関がありそうだ。
  • 放射線量の上昇が、積雪量の減少よりもペースがゆっくりしているのは、積雪量を測定している場所と、放射線量を測定している場所が、同じ福島市内であっても異なり、放射線を測定している場所での融雪ペースがゆっくりしていることが考えられる。
  • 福島市の例では、10cmの積雪で線量が0.95μSv/hから約0.8μSv/hに減少し、減少率は約16%である。積雪量と減少率は比例はしないだろうが、スキー場など積雪量の多い場所では、期間限定的ではあるが大きな遮線効果(遮る効果であるので、勝手にこう呼ばせていただいた)が期待できるだろう。
  • 積雪量のデータは、気象庁のホームページから取得した。
飯舘村の除染効果と積雪による遮線効果 飯舘村2012年1月7日~22日詳細

  • 飯舘村では2012年1月から大きな線量急減が見られ、福島市・郡山市と同等レベルにまで低下した。1月7日~22日のデータを示したのが上のグラフである。
  • 1月9日、11日、15日の3回の急減は、飯舘村役場のご担当の方にお聞きしたところ、自衛隊による役場周辺の除染活動によるものであった。除染の効果は大きい。積雪による遮線効果と併せて、約2週間の間に1.9μSv/hが0.6μSv/hにまで減少している。
  • 一方、1月21日から22日にかけてのやや緩やかな減少は、除染活動ではなく積雪によるものと思われる。
  • 少し気になるのは、除染後に逆戻り現象が見られることだ。約36時間で0.1マイクロシーベルト上昇するペースである。この原因は不明であるが、除染を行なっていない場所からの再流入の可能性があるかもしれない。
10市町村が平常値に戻るのはいつ?
(11月6日までのデータで予測・・その4)
環境放射能予測_11月6日

  • 11月6日(その3)の予測と基本的考え方は同じだが、細部で修正がある。
  • 前回からの修正点:
    1. 会津若松市やいわき市平のように比較的放射線量が低い場合に、自然界の放射線量を加算してしまうことにより、予測計算結果が高めになってしまう欠点があった。このため、グラフ上でカーブを水平移動させるという、あまり望ましくない補正方法を使っていた。
    2. 新たに、補正係数kを導入した。震災後200日の予測計算結果と実測値とが一致するように、kの値を決める。 つまり、計算式は次式となる。

      Γ = k * γN * η + f
      ここで、
      Γ:予測放射線量(μS/h)
       k:震災後200日の実測値と計算値を一致させるように決定した係数
      γN:自然除染効果を考慮した放射線量(μS/h)
      η:半減期をベースとした放射線減少効果
       f:自然界の放射線量=0.05μS/h

      γN = 10 ^ b * d ^ a
      ここで、
      a, b:市町村毎に両対数グラフの外挿から求めた定数
      d:震災からの経過日数(日)

      η = {exp (C134 * d) + exp (C137 * d) } / 2
      ここで、
      C134:セシウム134の半減期を表す定数 = -6.33E-5
      C137:セシウム137の半減期を表す定数 = -9.50E-4
         d:震災からの経過日数から30日を引いた日数(日)

  • 一例として、福島市での各パラメータは次のようになる。
    k: 0.907
    a:-0.297
    b: 0.740
  • 前回は記載が漏れていたが、半減期による減少を計算する際の日数は、30日経過時を基準にする意味で、実際の経過日数から30日を差し引いた日数にしてある。つまり、ηは30日で1の値をとる。
  • 計算結果はグラフのようになる。
  • 0.1マイクロシーベルト/hになる時期は、早い順に次のように予測される。
    • 会津若松市:2013年1月頃
    • いわき市平:2014年5月頃
    • 郡山市:2028年頃
    • 白河市:2033年頃
    • 南相馬市:2046年頃
    • 福島市:2056年頃
    • 飯舘村:2090年頃
  • 11月6日までの実測値を使った初回の予測では、両対数グラフ上で外挿線を引いただけの予測であったが、これは、福島大学の先生からのご指摘もあったように、明らかに不適切な方法であった。放射性物質の半減期の効果を考えなくてはならず、前々回より取り入れた。
  • 今回の予測も、人為的除染を行わない場合であり、何もしなくても得られる結果である。したがって、除染を行う場合はこれより遥かに前倒しで0.1マイクロシーベルト以下にすることを目標にすべきである。
  • 今回も、田村市と福島空港に関しては、外挿による計算式が求められないため予測は断念した。また、南会津町は既に0.1マイクロシーベルト/h以下になっているため、除外した。
10市町村が平常値に戻るのはいつ?
(11月6日までのデータで予測・・その3)
環境放射能予測_11月6日

  • 11月6日(その2)の予測と考え方は同じだが、数値計算を元にやり直した。
  • 考え方:
    1. ヨウ素の半減期による放射線の急減期間は既に終わっているので、計算に含めない。
    2. 現在は、風雨による自然除染効果により、セシウムの半減期による放射線の減少を遥かに上回るペースで減少が進んでいる。この効果に関しては、これまでの予測の結果を踏まえて、両対数グラフでの外挿により計算式を求める。
    3. セシウム134(半減期約2年)とセシウム137(半減期約30年)の構成比は1:1として、減少効果を計算する。
    4. 自然界の放射線量を、0.05μシーベルト/hとして、単純に加算する。
    5. つまり、計算式は次式となる。
      Γ = γN ・ η + f
      ここで、
      Γ:予測放射線量(μS/h)
      γN:自然除染効果による放射線量(μS/h)
      η:半減期による減少効果
       f:自然界の放射線量=0.05μS/h

      γN = 10^b * d^a
      ここで、
      a, b:市町村毎に両対数グラフの外挿から求めた定数
      d:日数(日)

      η = {exp (-C134 * d) + exp (-C137 * d) } / 2
      ここで、
      C134:セシウム134の半減期を表す定数 = -6.33E-5
      C137:セシウム137の半減期を表す定数 = -9.50E-4
         d:日数(日)
  • 計算結果はグラフのようになる。(f の効果で、放射線量の低いいわき市平や会津若松市では誤差が大きくなったので、予測線をグラフ上で下方に水平移動している。)
  • 0.1マイクロシーベルト/hになる時期は、早い順に次のように予測される。
    • 会津若松市:2012年秋頃
    • いわき市平:2013年春頃
    • 郡山市、白河市:2033年頃
    • 南相馬市:2049年頃
    • 福島市:2063年頃
    • 飯舘村:2093年頃
  • これは人為的除染を行わない場合の予測であり、逆に言えば何の除染も行わなくても得られる結果である。したがって、除染はこれより遥かに前倒しで0.1マイクロシーベルトを達成することを目標にすべきである。
  • 今回も、田村市と福島空港に関しては、外挿による計算式が求められないため予測は断念した。また、南会津町は既に0.1マイクロシーベルト/h以下になっているため、除外した。
10市町村が平常値に戻るのはいつ?
(11月6日までのデータで予測・・その2)
環境放射能予測_11月6日

  • 11月6日の予想情報を、福島大学放射線計測チーム様のご意見も踏まえて修正する。
  • 福島市の30日経過後を起点として、放射性物質の半減期を基とした理論値をグラフに追加した。セシウム134と137の構成比は不明だが、これら二つのカーブのどこか中間のカーブになるのであろう。
  • 11月6日までは、理論値より大幅に減少していることが分かる。これは、風雨による「自然の除染効果」と思われる。両対数グラフ上で直線になるということは、自然の除染効果は「べき乗則」に従うようだ。
  • この、べき乗則に従った自然の除染効果だけだと、多くの市町村で200年経っても0.1マイクロシーベルト/時にならないことになる。しかし、半減期を考慮すればもっと短くなる。
  • 非常に大雑把な予測だが、0.1マイクロシーベルトまで下がる時期は次のようになりそうだ。
    • 飯舘村:2087年頃
    • 福島市:2046年頃
    • 郡山市・白河市:2027年頃
    • 南相馬市:2035年頃
    • いわき市:2013年7月頃
    • 会津若松市:2012年12月頃
  • なお、本予想で人為的な除染は考慮していない。除染が進み、減少度合いが更に大きくなることを願う。
10市町村が平常値に戻るのはいつ?
(11月6日までのデータで予測)
環境放射能予測_11月6日

  • 10月2日の予想と同じ方法によるアップデートである。
  • 今回の予想で前回と異なるのは、郡山市だ。減少度合いが少なくなり、0.1マイクロシーベルトになる日は、また遠のいた。
  • 他は変化なし。
  • 今回も、福島空港(玉川村)と田村市は変動が大きすぎるので予想はできなかった。
  • なお、本予想で除染は考慮していない。除染が進み、減少度合いが大きくなることを願う。
  • それにしても、なぜ200年経っても0.1マイクロシーベルトにならない市町村が多いのだろうか?
  • 現状の環境放射能を決定している放射性物質は、セシウム134と137と考えられるが、それらの半減期は134で約2年、137で約30年である。
  • 悲観的に見て全てがセシウム137だとする。福島市の値は現状で概ね1.0であるが、半減期の理論通りに減少すれば、30年経てば0.5に、更に30年(合計60年)経てば0.25に、更に30年(合計90年)経てば0.125に、更に30年(合計120年)経てば0.0625になるはずである。
  • しかし予想では、200年経っても0.1にはならない。
  • この差は一体何が原因しているのだろうか?可能性を列挙する。
    1. グラフの外挿での予想に欠陥がある。
       大きなずれは無いはずだが・・・
    2. セシウム137よりも半減期が長く、ガンマ線を放射する放射性物質が無視できない程度に放出された。
       最近になってストロンチウム89と90が予想外の広範囲に汚染を広げていることが分かってきたが、半減期はセシウム137よりも短いので関係無い。
       プルトニウムによる汚染も心配され、プルトニウム239では2万年を超える半減期だが、こちらはアルファ線放射が主体なのでやはり関係無い(ストロンチウムもプルトニウムも内部被曝はすごく怖いが)・・・・
    3. 無視できない程度の放射性物質が、原発から継続的に放出されている。
       私はこの可能性が高いと考えている。

      • 「原発からの放射性物質の放出量は、事故当時の何百万分の1に下がっている」とされているが、原発敷地内ではまだ300マイクロシーベルト/h程度の空間放射線量が観測されている詳しくはこちら)。もし原発建屋のすぐ上で観測すれば、もっと大きな値が観測されるであろう。
      • そして、主に北回りルート(相馬→飯舘→福島)で継続的に汚染が広がっている。
      • 南相馬市の減少度合いが極めて少ないのはこのためと思われる。
      • 「除染」も大切だが、原発建屋カバー設置等、原発からの放射性物質拡散を食い止めることも非常に重要だ。
  • 福島大学放射線計測チーム様のご意見をお聞きすることができたのでご紹介する。
    1. 公共機関の実測値情報には様々な変動要因(測定条件の変化、気候の影響等)が含まれるため、それらを元に将来を予測するのは困難である。
    2. 放射能の減少は指数関数になるため、片対数グラフでの表記が望ましい。
    3. 福島大学の検証によれば、実測値と理論値は良い一致を見ている。→参考サイト
10市町村が平常値に戻るのはいつ?
(10月2日までのデータで予測)
環境放射能予測_10月2日

  • 8月31日の予想と同じ方法によるアップデートである。
  • 今回の予想で前回と異なるのは、飯舘村と福島市だ。飯舘村は、モニタリングポストの変更が原因と思われるデータの急減が9/1にあったのでそれを反映した。福島市はやや減少度合いが大きくなった。しかし、0.1マイクロシーベルトになる日の予想に対しては焼け石に水である。
  • 他は変化なし。
  • 今回も、福島空港(玉川村)と田村市は変動が大きすぎるので予想はできなかった。
  • なお、本予想で除染は考慮していない。除染が進み、減少度合いが大きくなることを願う。
  • それにしても、なぜ200年経っても0.1マイクロシーベルトにならない市町村が多いのだろうか? 現状の環境放射能を決定している放射性物質は、セシウム134と137と考えられるが、それらの半減期は134で約2年、137で約30年である。悲観的に見て全てがセシウム137だとして、例えば福島市の値は現状で概ね1.0であるが、30年経てば0.5に、更に30年(合計60年)経てば0.25に、更に30年(合計90年)経てば0.125に、更に30年(合計120年)経てば0.0625に、理論的にはなるはずである。
  • しかしグラフの外挿による予想では、200年経っても0.1にはならないことになる。
  • この差は一体何が原因しているのだろうか?可能性を列挙する。
    1. グラフの外挿での予想に欠陥がある。
      大きなずれは無いはずだが・・・
    2. 放射線量の多い地域から、風などで放射性物質が流入している。
      それならば、飯舘村などはもっと急激に下がっても良さそうだが・・・・
    3. 東京電力福島第一原発からの放射性物質の放出が、無視できない程度に継続している。
      そういう報道は聞いていない・・・・
    4. セシウム137よりも半減期が長く、ガンマ線を放射する放射性物質が無視できない程度に放出された。
      最近になってストロンチウム89と90が予想外の広範囲に汚染を広げていることが分かってきたが、半減期はセシウム137よりも短いので関係無い。プルトニウムによる汚染も心配され、プルトニウム239では2万年を超える半減期だが、こちらはアルファ線放射が主体なのでやはり関係無い(ストロンチウムもプルトニウムも内部被曝はすごく怖いが)・・・・
    ということで、何が原因かは分からない。
10市町村が平常値に戻るのはいつ?
(8月31日までのデータで予測)
環境放射能予測_8月31日

  • 7月27日の予想と同じ方法によるアップデートである。
  • 今回の予想で前回と異なるのは、郡山市だ。減少傾向がやや緩やかになったため、0.1マイクロシーベルト毎時になるのは、2027年8月頃となった。
  • 他は変化なし。
  • 今回も、福島空港(玉川村)と田村市は変動が大きすぎるので予想はできなかった。
  • なお、本予想で除染は考慮していない。除染が進み、減少度合いが大きくなることを願う。
10市町村が平常値に戻るのはいつ?
(7月27日までのデータで予測)
環境放射能予測_7月27日

  • 6月9日の予想と同じ方法によるアップデートである。
  • 今回の予測で前回と異なるのは、先ず会津若松市が最も早く0.1マイクロシーベルト/時に下がりそうなことで、来年末と予想されることだ。
  • 二番目の違いは、いわき市平が0.1マイクロシーベルト/時になるのは、やや遅れて2013年の7月頃と予想される点だ。
  • 三番目の違いは、郡山市が2022年2月頃に0.1マイクロシーベルト/時になるかもしれない点だ。郡山市は福島市とほとんど同じ値を示してきたが、ここ1ヶ月程度は明らかに福島市とは異なり、減少度合いが大きくなっている。この先また元に戻るかもしれないが、この減少度合いが継続すれば11年後には0.1マイクロシーベルト/時になるだろう。
  • 他は前回の予想と大きな違いはない。
  • 今回も、福島空港(玉川村)と田村市は変動が大きすぎるので予想はできなかった。

10市町村が平常値に戻るのはいつ?

(6月9日午前8時までのデータで予測)

環境放射能予測_6月9日

  • 4月末の予測で、南会津町を除いて最も早く0.1マイクロシーベルト/hに到達するのは「いわき市平」で、6月6日と予測した。
  • しかし、やはり外れた。6月9日朝の時点で、いわき市平の値は、まだ0.2を越えている。
  • 今回は両対数グラフによる予測を試みた。これで見ると、一つの市町村のカーブは、概ね何本かの直線の集合で表現できそうだ。
  • 例えば福島市と郡山市の場合だが、700時間経過後から現在まではほぼ直線上に乗っている。今後はこの直線に乗ると仮定して、0.1と交差する日を手作業で求めるのだ。
  • 上のグラフで、横軸の右端の、1,000,000時間後というのは、2125年4月10日である。100年以上先だが、福島市、郡山市、飯舘村、南相馬市、白河市は、残念ながら、それ以前には0.1になりそうもない。
  • 既に0.1を下回っている南会津町以外で、比較的近い将来に0.1になるのは、いわき市平が2012年7月頃、会津若松市が2013年の10月頃と予測される
  • なお、田村市と福島空港(玉川村)は、値の変動が大きく外挿線が引けないため、予測は断念した。

10市町村が平常値に戻るのはいつ?
(4月16日~4月25日のデータで予測)

(4月28日掲載)

環境放射能近似式_4月26日

  • 過去何回か掲載してきたが、いずれも外れている。その原因は、「現在の減少度合いは、これから先も同じように続く」という仮定で計算したが、結果として減少度合いは日を追う毎に小さくなってきたからだ。
  • これは、放射能関係に普通に詳しい方であれば簡単に気づく「見落とし」だ(と管理者も気づいた)。汚染直後は「半減期の短い放射性物質」が多いが、時間が経つにつれてそれらは急激に少なくなり、長期間に亘って放射能を出す物質が支配的になるからだ。
  • 全ての放射性物質の種類と量が判明して、今後新しい汚染が一切無いとすれば精度の高い予測ができるが、それはおそらく無理だ。
  • ということで、「予測は時間を追って適時行う」のが現実的と割り切った。
  • 今回の予測結果は次の通り。
    環境放射能予測値
  • 平常値の0.04はかなり遠い目標なので、とりあえずの安心レベルとして、0.1を設定してみた。
  • 10市町村中、現状で最も値の高い飯舘村が最も到達日時が遅いわけではなく、減少度合いが最も緩やかな「白河市」が最も遅く、0.1になるのは来年の1月と予測される。
  • 逆に、減少度合いが最も大きい「いわき市平」は、6月上旬には0.1に到達すると予測される。
  • 多くの市町村では、今年の夏~秋には0.1に到達すると予測される。
  • これらの予測が「現状の減少度合いがこれからも続く」と仮定していることは、これまでと同じである。減少度合いは徐々に緩やかになってきており、今後更に緩やかになる可能性は十分ある。更には、原発で何か悪いことが起きて汚染が増えてしまう危険性もある。したがって、今回の予測結果は「最短」と考えていただきたい。

汚染ルートの推察

(4月22日掲載)

環境放射能測定値_初期

  • 今日は、3月15日前後の急上昇の様子を再度振り返ってみたい。これを眺めることで、放射性物質が福島第一原発から各地に、どのように運ばれてきたかを推測する手がかりになるかもしれないと思ったからだ。一番下のグラフがそれだ。
  • まず分かることは、局所ピーク(ごく短時間での急激な上昇と減少)が見られる市町村と見られない市町村があることだ。4月16日に書いたように、これはヨウ素134による汚染である可能性が高いと考えている。
  • 局所ピークが顕著に見られる市町村:いわき市平と南会津町である。いわき市平より約16時間遅れて南会津町でピークが観測されている。
  • 局所ピークが全く見られない市町村:飯舘村、福島市、郡山市である。
  • 局所ピークが少し見られる市町村:白河市、南相馬市、会津若松市である。
  • これらから推測できるのは、汚染には北回りルートと南回りルートがあったらしいことだ。北回りルートで汚染されたのが飯舘村、郡山市、福島市であり、南回りルートがいわき市と南会津町だ。白河市と会津若松市は両方のルートから汚染された可能性がある。
  • 南相馬市の特性は他の市町村とは異なる。他の市町村で爆発的上昇があった以前から、3~4マイクロシーベルト/時の値が観測されていることだ。(グラフが線で繋がっていないので見づらいが。)南相馬市の汚染ルートは他の市町村とは別と推測される。
  • 謎なのは、飯舘村での急上昇があった1~2時間前に、郡山市で急上昇が観測されていることだ。北回りルートは、更に細かいルートに分かれていたのかもしれない。
  • もう一つの謎は、いわき市経由で南会津町へ汚染が進み、かつ局所ピークがヨウ素134によるものだとすると、16時間も経過すれば南会津町では全く局所ピークは観測されないはずであることだ。 → 4月23日追記:テクネチウム99m(半減期 6時間)の方が可能性が高い。実際、2~4号機のタービン建屋の汚染水から検出もされている。なお、テクネチウム99mは核医学的に有用な物質で、血流測定剤、骨イメージング剤、腫瘍診断剤の放射線診断薬などに使われているそうだ。体内に取り込まれても、ほとんどが速やかに排泄されるらしい。

10市町村のメッシュモニタリング

(4月19日掲載)

メッシュ環境放射能測定値_飯舘村

メッシュ環境放射能測定値_福島市

メッシュ環境放射能測定値_郡山市

メッシュ環境放射能測定値_白河市

メッシュ環境放射能測定値_南相馬市

メッシュ環境放射能測定値_田村市

メッシュ環境放射能測定値_いわき市

メッシュ環境放射能測定値_玉川村

メッシュ環境放射能測定値_会津若松市

メッシュ環境放射能測定値_南会津町

  • 今回はいつもの10市町村のデータはお休みさせていただき、代わりに、福島県で4月12日~16日に実施された、「モニタリング・メッシュ調査結果」から、10市町村のデータを抽出してグラフ化したものを掲載する。
  • この「モニタリング・メッシュ調査」は、県内2727箇所で、地上高1mと1cmの放射能値を測定したものである。ほとんどが「道路」または「公園」であるが、学校や幼稚園も少数含まれている。
  • これまで、ここで掲載してきた10市町村のデータは、市役所等の「代表的場所」のスポットで測定した値であり、その他の場所でどうかは分からなかったが、ある程度分かるようになることが期待される。
  • グラフの見方:
    • 横軸:放射能値を対数で表している。対数にした理由は、同じスケールのグラフで10市町村全てを表示したいからだ。
    • 縦軸:正規化した頻度である。グラフの中の■(または×)の点の値を全て足し算すると、100%になるということだ。こうすることで、市町村毎に標本数が異なっても、同じ土俵で比べることができる。
    • 一例として、飯舘村の1mで「7マイクロシーベルト/時」付近の値になるのは、飯舘村の中で20%強を占める地点であるということが分かる。
    • また、グラフ中に表示してある基本統計量を見ていただければ、数値で把握することもできる。
  • 注意点:
    • 横軸を対数軸で等間隔のデータ区間をとるということは、横軸が高い値になるほど、一区間の幅は広がっているということになる。これは普通は使わない手法であるが、見やすさを優先した。
    • 専門的になって申し訳ないが、このようなグラフを提示する場合、「確率密度関数」を使うのが一般的である。しかし、それでは直感的に理解できないので、あえて頻度のグラフにしてある。
    • したがって、■と■(あるいは×と×)の間の数値を読み取ってはならない。あくまでも■(あるいは×)の一点の値だけが意味を持つグラフであることをご理解いただきたい。
    • そうした意味からは線グラフではなく棒グラフにしたかったが、横軸を対数にするには線グラフでないとExcelが書いてくれないようだ。
    • グラフは統計的処理が目的なので、「自分の住居付近はどうか?」は、グラフからは分からない。そのような用途には、元データから知りたい場所にできるだけ近い場所のデータを探し出していただくしかない。大変な量だが、こちらで閲覧可能である。 → 福島県のHP
  • 次のことが言える。
    1. 推移を測定している代表的観測地点の値と、メッシュ・モニタリングの平均値とは異なる。4月14日0:00の代表的観測地点の値と比較すると次のようになる。以下は、【メッシュ・モニタリング1m平均値, 1cm平均値】, 代表的観測地点の4月14日~4月16日の平均値の順に記載。
      • 飯舘村:【6.90, 8.79】 5.09
      • 福島市:【1.74, 2.37】1.91
      • 郡山市:【1.16, 1.58】 1.84
      • 白河市:【0.79, 1.03】 0.70
      • 南相馬市:【1.79, 2.34】 0.62
      • 田村市:【0.61, 0.78】 0.24
      • いわき市:【0.55, 0.66】 0.36
      • 玉川村(福島空港):【0.31, 0.37】 0.34
      • 会津若松市:【0.27, 0.34】 0.19
      • 南会津町:【0.11, 0.13】 0.08
    2. 代表的観測地点の値の方が高い場合も、低い場合もあるので、今後推移値を見る場合は、この差異を頭にいれておくと良い。特に差異が大きい南相馬市、田村市は注意した方が良い。
    3. メッシュ・モニタリングの値の広がりは市町村によって大きな違いがある。例えば、いわき市、玉川村、会津若松市は広がりが小さく、大きなピークが一つだけである。これに対して、福島市、南相馬市、南会津町は広がりが大きく、接近した値の複数のピークを持っている。
    4. いわき市は県内でも面積が広い都市で、メッシュモニタリングでも最大の標本数だが、場所による値の違いが非常に小さい。減少度合いが大きいことと併せて、いわき市の特性については、更に注意深く見てゆきたい。
  • 1mと1cmとの比(1cmの値÷1mの値)を、2727地点全てで見ると次の通りになる。
    • 平均値:1.28
    • 最小値:0.68
    • 最大値:3.08
    • 標準偏差:0.20
    全体の98%の地点で 1.00~2.00の間に入り、2.00を超える地点は全体の0.5%である。また、全体の1.4%の地点では、1mの値が1cmの値より大きいという「逆転現象」が起こっている。逆転現象が起こる場所に共通の特徴があるかどうかは不明である。

局所ピークについて

(4月16日掲載)

環境放射能測定値_いわき市平

  • 今日は10市町村のグラフはお休みさせていただき、「局所ピーク」についての検討結果をお知らせする。
  • 「局所ピーク」は、管理人が勝手につけた呼称で、グラフ上で非常に短い時間帯に放射能値が急激に上昇し下降する現象を指している。
  • 局所ピークは、いわき市平、南相馬市、白河市、南会津町で顕著に見られるが、今回はいわき市平のデータで検討してみた。
  • グラフを見ると、時間的にはA~Dの4箇所で発生している。このうち、AとDは、複数の局所ピークが重なっているように見えるので、BとCについて数値を検討することとした。
    • B:3月16日04:00に5.45の最大値を観測し、その1時間後に半分以下の2.42に減少した。
    • C:3月16日11:00に8.35の最大値を観測し、その1時間後に半分以下の3.81に減少した。
  • 局所ピークの原因は何だろうか? 可能性として次を考えた。
    1. 密度の高い放射性物質の雲(大気)が、風に乗っていわき市平を、ごく短時間だけ覆った。
    2. 測定方法の一貫性に問題があった。
    3. 半減期が非常に短い放射性物質で汚染された。
  • a.については、地上の構造物がほとんど汚染されないということは非常に考えにくい。
  • b.については、いわき市平以外でも発生していること、ほぼ同じ時刻に別な地点で発生していることもあることから、やはり考えにくい。
  • ということで、c.の可能性が高い。では、どんな放射性物質が考えられるだろうか。管理人が調べた結果、該当するのは、ヨウ素134(半減期 約53分)である。テルル129(半減期約70分)も候補で、原発施設内で僅かながら検出もされているが、1時間で半分以下になっていることから、ヨウ素134の方が可能性が高い。
  • このヨウ素134は、3月27日に東京電力が、「2号機のタービン建屋の汚染水1ccから、29億ベクレルが検出された。」と発表したことから、関係者に驚愕をもって受け止められ、再検討の結果「実はセシウム134でした。」と訂正されたいきさつがある物質だ。
  • その後、この物質が検出されたという発表は無いが、局所ピークはヨウ素134で汚染された結果であると、管理人は考える。
  • しかし、もしそうだとしても、それがすごく問題かと言うと、そんなことはないようだ。ヨウ素134が、例えば頻繁に報道される「ヨウ素131」より悪玉だとの情報は、管理人が探した限りは見つからない。
  • むしろ、全ての放射性物質がヨウ素134であれば、「あっという間」に数値が下がるので好ましいだろう。
  • 一つはっきりしないのが、「ヨウ素134は核分裂後に何になるか?」だ。セシウムになるらしい情報はあるが。

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